ウィスパード覚醒管理人:アリマサ mini.011
あたし千鳥かなめ まあ、ウィスパードだったみたいでね。 その兆候が最近本格的にあらわれたみたいなのよね 難しい授業も簡単に聞くだけで理解できちゃうし。
こないだなんてちょっと大学の問題とか興味でやってみたんだけどさ、これが簡単に理解できちゃうわけ
こりゃもうウィスパードの力がかなり目覚めちゃってるみたいなのよね
まあ、お得な気分だけど
キーン コーン カーン コーン
「カナちゃーん、なにしてんの? 次美術の授業だよ。早く行こうよ」
常盤恭子が準備を終え、かなめに話し掛けた
「あ、ごめんごめん。今準備するから」
かなめも準備をして、二人は慌てて美術室へと向かう
美術の時間
水星先生が今日の課題を説明する
「…であるからして、色がかもしだす情熱をキャンパスにぶつけ、青春とはなんたるかを(中略)ヤシの木に猿がいたという事実が黒人への差別へとつながってしまうのだ。しかるに我々がしなければならないのは(中略)隕石がピンポイントシュートを放つと同時に地縛霊が「あらよっと」と片手でキャッチしてしまうことで…」
またも説明が難解な言葉の口上に変わり、生徒たちが「あーあ」とため息混じりにつぶやく
「…はは、またこうなっちゃったね、カナちゃん」
恭子が冷や汗混じりに横にいるかなめに話し掛けた
が、かなめは恭子に気づかないくらいにその説明に聞き入っていた
「…カナちゃん?」
「…り…理解できるわっ…」
「……え?」
するとかなめはなにやら感動したように先生に近寄って、拳を握り締めて力説した
「先生っ、つまりこうですね。あたしたちは深層におけるプロセスから打ち立てられるかりそめの姿を(中略)石に刻まれた言葉が自然の物理に反した象徴のごとく(中略)馬に結ばれた人参を横取りするカモメの優雅さに秘められた…」
すると水星先生は嬉しそうに口元を緩めた
「おお、わかってるじゃあないか。そうだ、キミの言うとおり反転をかました文字に躍らされる霧のごとく(中略)胃と腸が混合しないという事実が…」
二人は雑談を交わすような雰囲気で、意味不明の言葉を交し合う
まわりの生徒たちがその異様な雰囲気に気圧されて数歩後すざる
「大変だ、千鳥さんが狂ってしまった」
「カナちゃん…」
そんなみんなの心配をよそに、二人はまだ会話を続けていた
「こうですね、先生。がに股をくぐりぬける槍が一本の希望へと…」
どうやら「恋人にしたくないアイドル、贈呈品イーター」の他に更なる評価が加わりそうだ
|