アルの助言管理人:アリマサ mini.005
ドガガガガ
激しい銃撃戦。ミスリルのM9とアーバレストがどでかい銃を敵の一機に向けて撃ちまくる。
しかし、この相手の装甲はとてつもなく硬く、なかなか傷を負わせることができない。
「ちくしょう、なんて頑丈なんだっ!」
「落ち着きなさい、クルツ。…とはいえ、さすがにこれはまいったわね。一斉放射かましてんのに倒せないなんて」
マオでさえ、お手上げになるほど丈夫な敵の装甲。となれば、
「俺に任せろ」
ここは宗介のアーバレストに搭載されているラムダドライバで攻撃するしかないだろう。
「ええ、ここは任せたわ」
M9は邪魔にならないよう、そこから離れた。
「よし、いくぞ…」
その敵に向け、両手を向ける。そして目を閉じ、あの硬い装甲をも貫く砲弾のイメージを頭の中で思い描く。
よし…
「ラムダドライバアアァァ!!」
…だが、なにも起こらなかった。
ど…どういうことだ? またラムダドライバが発動しない…
「おい、アル。応答しろ。なぜラムダドライバが発動しない?」
<それは軍曹、あなたのイメージが貧困だからですよ>
アーバレストのAI、アルが機械音でそう答えてきた。
「貧困だと? ばかな。俺はこう、とんでもないビーム光線が発射されるイメージをしっかりと…」
<そのイメージはナンセンスです。軍曹殿には軍曹殿に合った怒りのイメージがあると思われます>
「それはどういう意味だ?」
<砲弾をイメージするのではなく、相手を倒そうとする感覚に近い、恨みというか怒りをぶつけることが重要となります>
「そう言われても、急に怒ることなどできん」
<そんなんだからいつも無表情だの無愛想だのと言われるんですよ>
「黙れ。…というか、なぜ貴様がそれを知っている?」
<あなたと一体化するために、いろいろとあなたのデータが送られてくるんですよ。ええ、それはもうこっちが赤面してしまうくらい恥ずかしいものまで>
なんなのか知らんが、あとで初期化しておこう。まあそれよりこっちを倒すことが最優先だ。
「それで、どうすればいい?」
<ではこうしましょう。私がイメージの手助けをしますので、軍曹殿は目をつぶり、私の言うことを集中して聴いていてください>
「よし、聞いていればいいんだな」
<肯定です。ではいきますよ>
宗介は目を閉じ、聴覚に集中した。
<相良軍曹! 今日から一緒に暮らすことになったマデューカスだ。よろしく(マデューカスの声色で)>
うわあああぁぁぁ!!
ラムダドライバ発動。それは敵の装甲の外壁をみるみるうちに剥がしていく。
<いい調子です。あと一歩で倒せますよ。では続いて>
するとまた声色が変わる。それは思い出したくも無い、ガウルンの声だった。
<ハア、ハア、ハア。お…俺、興奮しちまうよぉカシムぅ。見ろよこれぇ。俺が作った手作りのカシム人形だよ。俺いつも朝はこの人形にキスしてんだぁ。クックック。たまんねぇよぉ、この愛しいツラがよぉ。夜はほおずりして一緒に横になって寝てるんだぁ。あぁ、最高だよ、カシムぅ>
うああああぁぁぁっっ!!
大地が震え、天を貫くような光線が敵を完全に貫き、粉砕した。
アルが報告する。
<敵機、完全撃破を確認。軍曹殿、さきほどのラムダドライバの威力は見事でした。その威力は過去最高のものです>
だが宗介はディスプレイに頭突きなどをかましている。
うあああぁぁ! うああぁぁ!!
<危険、軍曹殿が発狂しました。繰り返します、軍曹殿が…>
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