「待ちなさいっ!!」
若菜は叫ぶなり、腰についた銃を引き抜いて撃ってきた
ドオンッ
「ふもっ!(ぐぼわっ!)」
その凶弾はボン太くんの背中に見事にヒットしたのだが、ライフル弾さえストップする、超アラミド繊維の防弾毛皮のおかげで助かった
にしても、いきなり銃を撃ってくるとは、本当に婦警なのか?
宗介は、背中をさすりながらそう戦慄していた
そうしてまごまごしてる間に若菜が駆け寄り、がっしと首を取ってきた
「いきなりだけど、あなたに協力してもらうわよっ」
「ふもぅ?(いきなりなんなんだ?)」
「いーから来なさい、ほら」
俺の意志を完全に無視し、陽子はずるずると俺を近くの空き地に引っ張っていった
空き地に連れられると、陽子は俺を放し、腕を組んでこっちを向き、勝手に話を進めた
「あなたのその格好はちょうどいいわ」
「…………?」
「あなた、最近問題になってる、『ボン太くんグッズ破壊事件』って知ってる?」
俺はぶんぶんと首を横に振る
「無差別にボン太くんグッズを破壊して、その産物を道端に晒すという手口よ。……まあ、あまりに規模も小さいから、そんなに知られてないんだけど」
「ふもぅ」
「ま、とにかく。わたしはこの犯人を捕らえて昇進したいの。そういうわけで、あなたのその格好はその事件犯の餌にぴったりだわ。犯人逮捕に協力してちょうだい」
なるほど。この女も目的は同じなのだな。一緒にいるのはなるべく避けたいところだが、効率を考えると手を組んでおいた方がよさそうだな
俺は、こくこくと首を縦に振った
「オッケイ。協力してくれるのね。……ま、断られても無理矢理させるつもりだったけど」
と、怖いことを言ってから、陽子は一枚の地図を広げた
「ふも?」