廊下に出てみると、近くを稲葉瑞樹が歩いてきた

あいつにも聞いてみるか

「おい、稲葉」

「ん? なによ」

面倒くさそうだったが、いったん止まってくれた

「聞きたいことがある。千鳥の居場所を知らないだろうか?」

「…………」

なぜか、沈黙

それからやや間があってから、稲葉は言ってきた

「……人に聞くより、自分でどこか考えてみたら?」

「む……」

自分で考える……か

そうだな……千鳥が行きそうな場所といえば……

「……生徒会室か?」

「そう思うんなら、行ってみなさいよ」

「うむ、そうだな。助言に感謝するぞ」

そう言って、離れようとすると、瑞樹は腕をがしっと捕まえてきた

「……なんだ? 稲葉」

「……ね、なんでカナメを探してるの?」

「……答える義務はない」

「おおかた、喧嘩でもしたんでしょ」

「…………」

女の直観力というのは恐ろしい

「ね、仲直りする方法、考えてるの?」

「……いや」

言葉を濁した

まだ探すことだけを考えていて、どう仲直りするかは考えていなかったのだ

「だったらさ、仲直りに関しては、アタシからいいアドバイスがあるんだけど……聞きたい?」

「…………」

どうする。助言を聞くのはいいかもしれんが、この女の信用度は低いほうだ

さて、どうする?



>稲葉の助言を聞く

>断って、生徒会室に急ぐ