すかっ
宗介のその行動で、一成の蹴りは空を切った
「し……しまった!」
空中で体の方向変換ができない一成に向け、すかさず一発を入れた
ばきっ!
「ぐあっ」
一成はよろけたが、倒れずに踏みとどまった
深刻なダメージにはならなかったようだ
殴られた頬をさすり、一成は「ちくしょう」と呻く
……さっきので決着をつけれなかったのは痛いな
こうなれば、より慎重になって戦ってくるだろう
俺としては、もうそんなに時間がないのだが
「いくぞ、相良あっ!!」
またも、突進
俺は右ストレートを放つが、これを一成はかがんで避け、上段蹴りをかましてきた
「ぐっ」
俺は上半身をずらし、その蹴りをかわす
そして今度はこっちが蹴りをおみまいしようとすると、一成も上半身をひねり、これをかわす
ぎりぎりの接近戦だった
お互いがお互い、戦闘能力が高いので、なかなか勝負がつかない
だが、途中で戦局が変わった
椿の蹴りが空をかすめたとき、ぐらっと体勢を崩したのだ
その隙をついて、すかさず宗介は腰を落とし、重心が不安定になった一成の片足を、足払いで払い落とす
「うおっ」
支えていた軸足をずらされ、一成は尻餅をついた格好になった
よし、トドメだ
宗介が最後の攻撃に移ろうとすると、突然、怒鳴り声が割り込んできた
「こらあっ、貴様らあっ!!」
怒鳴ったのは、用務員の大貫善治だった
「まずい……」
その来訪者に、二人は青くなった
その大貫善治はすでにチェーンソーを片手に準備を整えている
ブルオオオォォン ドッ ドッ ドッ
「貴様ら……わしが毎朝ならしているグラウンドを……荒らしおって」
さっきまできれいだったグラウンドは、戦場にされたことで、たしかにところどころに穴が空いたり削られたりしてボロボロだった
「許さん……殺すッ」
言うなり、チェーンソーを振り上げた
「まずいいぃぃっ!!」
叫ぶなり、慌てて大貫善治から逃げようと、二人とも走り出した
が、このままではいずれ捕まるだろう
そこで宗介が考えたのは……