奥のほうへ移動することにした
すると、向こうから神楽坂恵理先生が弁当の包みを持って、歩いてくる
「先生」
そう呼びかけると、恵理先生はハッと驚いたようにして、すぐに弁当の包みを後ろに隠した
「なっ……なにかしら? 相良くん」
「これから美術室に行くところ、恐縮ですが。千鳥を見ませんでしたか?」
「び……美術室だなんて。いえ、別にこれから水星先生に会いに行くとか、そんなんじゃ……」
頬を赤く染めて、あわてふためく恵理
「……落ち着いてください、先生。千鳥を見ませんでしたか?」
「え? ああ、千鳥さんね。彼女なら、屋上に行くのを見たかしら」
「そうですか。ありがとうございます」
一礼して、その場を離れた
恵理はそのあと、やはり美術室にかけこんでいた
さて……
屋上か。なら、階段まで行くか