もうひとふんばりかな
諦めずに、いろんなアピールを続けていく
すると、次第に公園の前を通りかかる人々が、俺のアピールに惹かれはじめてきた
そのうちの子供が、なぜか嬉しそうにこっちに駆けて来て、抱きついてきた
「ふも?」
それがきっかけとなって、今までじーっと眺めていた他の子供たちも、わあっと走ってきた
「ふもぅっ?」
わらわらと小さい子供たちが俺の元に集まって、わいわいと騒ぎ出した
背中に乗ってきたり、次々と抱きついてきたり
「ふもふもーっ(た……助けてくれ)」
無線でそう助けを呼んだが、なぜか陽子は無言のまま様子を見ている
『…………』
なぜかうらやましそうな目でこっちを見つめ、動かない
一体どうしたというんだ? 早く助けてくれ……
すると、陽子はがさがさと茂みの奥へと消えていった
ど……どこへ行くんだ?
いきなり若菜陽子が消えてしまった
置いてかれたことで、一気に不安になった。この状況を、どうしろというんだ……?
だが、陽子はすぐに戻ってきた
……ピーポくんのぬいぐるみを身にまとって
「ふぅも、ふも(なにやってんだ、あんたは)」
『わたしだって、負けないわよ』
そう言うと、近くの子供に声をかけた
『ほうら、一緒に遊ぼうかぁ?』
「…………」
END21 オトリ失敗END
結局その日、犯人はあらわれなかった
そのかわり、地域の子供たちの人気株は上がったのだが