この組み合わせでいいはずだ
「さ、千鳥。もういいぞ」
「ん……」
千鳥は目をあけると、俺の手元を見る
「サンドイッチかあ。中身はなに?」
「うむ。それは食ってからのお楽しみだ」
「うん、じゃあ食べるね」
俺からそのパンを受け取り、かじってみる
「んむ……」
どうだろうか?
するとかなめは、視線を宙に漂わせ、んーと考えた
「んー……。ちょっと変わってるけど、おいしいよ。うん、うまいうまい」
と、次々とパンをほおばってくれた
よかった。上手くいったな
「そうか」
「うん。コレ、あんたが作ったんでしょ。いけてるよ」
そう言って、からからと笑った
どうやら、機嫌は戻ったようだな
千鳥は差し出したパンを全部食べ終えると、こっちを向いて、にひと笑った
「……なんだ?」
「いやあ、あたし、満腹になっちゃったよ。ホント、おいしかった」
「そうか」
「でさ」
「……なんだ?」
「あたし、今日は弁当って言ったよね? こんなに満腹だと……お弁当の方は食べれないなあ」
と、わざと困ったような仕草をしてみせる
「……なら、それを俺にくれないか」
「えっ。そう? んじゃあ」
まるで俺のこのセリフを最初から待っていたような、大きい反応をしてみせると、いそいそと弁当箱を2つ取り出した
…………2つ?
「二人分あるのか?」
「そうよ。アンタが……最近経済苦しいんじゃないかと思ってさ。あたしの分もあったんだけど、満腹になっちゃったからさ、両方食べて」
「千鳥の分まで? ……いいのか?」
「うん。種類は違うから……飽きないと思うんだけど……残さず食べてね」
「……ありがたくいただこう」
弁当箱を開けると、まるで最初から宗介のために作ったとしか考えられない、栄養のバランスのとれたオカズばかりだった
「うまそうだ」
「ん。そんかわり、昼休みが終わるまでもう三分もないから、それまでに全部食べてね」
「……2つともか?」
「時間たつと味が落ちちゃうじゃない。頑張ってね」
そう言って、またも、にひと笑った
「…………」
END06 パン成功END
食べきった……食べきったのだが……
宗介はふくれた腹をさすり、呻いた
さすがに苦しい……
「えらいえらい。じゃ、教室戻ろうか。あ、次の時間は体育だって」
「…………」
「どしたの? ほらほら。早く行くわよ」
苦しくて動けない俺の体を無理やり起こし、教室へと引っ張っていく
宗介は思った
やはり千鳥は、まだ怒っているのではないのだろうか、と