「その……さっきの靴箱の件なのだが」

「なによ」

「少し、それについて弁明させてくれないか」

「…………」

少しは聞く気になってくれたのか、近くの椅子に座って、こっちを見た

「……言ってみなさいよ」

「うむ」

俺はコホンと咳をして、はっきりと告げた

「たしかに、方法は荒いかもしれん。だが、俺にとって経過は問題ではない」

「……ちっとも、分かってないじゃない」

「最後まで聞いてくれ、千鳥」

力強く言ったせいか、かなめは驚いたように目を大きくし、それからハアとため息をついて座りなおした

それを見て、俺は続けた



END02 説得END

「俺にとって、一番重大な問題は、あれが本当の敵の罠であることなのだ」

その言葉を聞いて、かなめはすぐに反論した

「だから、どれもちがってたでしょっ」

「……それは結果論だ。可能性としては、たしかに罠でないことが高い。だが、ゼロというわけではないのだ。そして、罠であった場合、やり直しがきかない」

「…………」

「本物の罠であった場合、もうその時点で終わりなんだ。瞬時の爆発は俺にも防げない。君を危険にさらしてしまう。そうなってからでは遅いんだ」

「……う」

「俺は……千鳥。君を痛い目には合わせたくない。だから、どんな手段を用いても、処理する。そしてこれが俺なりの、君にできることなのだ。俺はそうしたいからここにいる」

「うん……」

俺の気持ちは、伝わったのだろうか……

彼女の眉間からはシワは消えていて、かわりにどこか赤みが増しているような気がする

「……どうした? 千鳥。顔が赤いぞ」

「う……なんでもないわよ。アンタの言いたいことは分かったわよ。ただ、処理方法にはまだ納得はいかないけどね」

そして俺の胸に飛び込んだ

「でも……ま、今回は許してあげる」

全部ではないが、いくらかは伝わったようだ。しかし……

「やはり、顔が赤いぞ。熱ではないか? 保健室に連れて行こう」

「いや、なんでもないってば」

「いや、赤い。無理をするな」

俺は手をかなめの腰にまわし、そしてぐいっと持ち上げた

それはいわゆるお姫様だっこというやつだった

かなめは余計に赤くなり、手足をじたばたさせる

「は……放してってばあっ」

だが俺はそれを聞かず、保健室までずっとその状態を保っていた



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